公務員の50代は、組織の中核を担う立場となり、管理職としての業務が増える時期です。
若手時代のように直接住民と関わる機会は減少し、組織運営や調整業務が中心となることで、やりがいを見失いやすくなります。
実際に、僕も50代になって急に仕事が楽しくなくなりました。
この記事では、20代・30代の職員の方、そして公務員を志望している方に向けて
- いずれ「仕事が楽しくない」と思うときがくる理由
- いつまでも楽しく仕事するためにやるべきこと
を26年間の公務員経験をふまえて解説します。
この記事を書いた人
- 26年間、公務員(県庁)として勤務し、51歳のときに早期退職
- 退職後1年間はフリーランスとして活動し、今は、民間企業に転職
50代で仕事がつまらなくなる理由

管理職としての業務が増える50代。仕事がつまらなくなる理由は以下の3つです。
- 庁内調整の仕事が多くなる
- 議会対応の仕事がメインとなる
- 自分の時間を大切にしたくなる
一つずつ解説します。
庁内調整の仕事が多くなる
50代の公務員は、部署間の利害関係を調整し合意形成を図るような業務がメインとなるため、若手時代のような達成感を得られにくくなります。
また、室長や部長といった幹部職員へ説明する機会が多くなり、資料の作成や想定される質問への答えの準備などに時間を取られます。
それらの一つ一つが関係課との調整が必要になる場合もあり、さらに時間を取られることも少なくありません。
若手時代の対外的な仕事から、幹部職員相手の内部調整の仕事へと変わり、具体的な成果が見えにくく、仕事の面白さを感じづらい状況に陥りやすいのです。
議会対応の仕事がメインとなる
管理職として、議会対応が重要な職務となるのが50代です。
本会議や委員会での答弁作成や、議員からの質問や要望に対する説明資料の準備など、細心の注意を払わなければいけない業務が増えていきます。
特に、議会答弁を作成する際には、部長レク(部長へ説明してOKをもらうこと)を終えるまでに、関係課で調整し文案を何度も修正したり、想定問答を作ったりすることに多くの時間を費やすことになります。
部長レクを済ませたあと、実際に議員へ説明し了承を得るわけですが、「上手くいって当然、上手くいかなければ説明者のミス」という風潮もあり気が抜けません。
こうした業務は、ミスが許されない緊張感の連続で、精神的な負担も大きくなりがちです。
結果として、若手時代のような業務の充実感を得られにくくなってしまいます。
自分の時間を大切にしたくなる
50代はいろんな価値観が変わってくる時期でもあります。
今まで部長レクなどの庁内調整に時間を要しても、なんとも思わなかったものが、
- こんな業務に時間を取られて、もったいない
- 休みたい時に休めないのがつらい
- 自分の時間を大切にしたい
など、時間に対する考え方が大きく変わるようになります。
また、退職後の生活を考え始めたり、早期退職した元同僚のことが気になったりして、公務員一筋だった価値観に変化が生じます。
結果として、「このまま公務員を続けて楽しいのか?」という大きな疑問が生まれるのが50代です。
いつまでも楽しく仕事するためにやるべきこと

50代の公務員生活を充実させるためには、新たな視点で仕事に向き合う姿勢が重要です。
端的に言いますと、
- プレーヤーからマネージャーになるという意識改革
- マネージャーにならずにプレーヤーのままでいるという選択
- 相談できる人を作っておく
ということです。
※プレーヤーは主査までの職員、マネージャーは課長・課長補佐以上の職員を想定しています。
3点目の「相談できる人を作っておく」は、新たな視点ではありませんが、大切なことなので併記しました。
それぞれ詳しく説明しますね。
プレーヤーからマネージャーになるという意識改革
管理職として求められる庁内調整や議会対応のスキルを、専門性の高い仕事として捉え直すことで、新たなやりがいを見出すことができます。
「庁内調整や議会対応のプロを目指す」と言い換えてもいいでしょう。
「庁内調整が面倒」「議会対応がイヤ」と思っていれば、精神的に疲弊する場合が多いです。
これまでの経験を活かして、管理職としての業務を前向きに考えることで、仕事の面白さを再発見できるでしょう。
マネージャーにならずにプレーヤーのままでいるという選択
必ずしも管理職への昇進が、すべての職員にとって幸せな選択とは限りません。
自身の適性や希望に合わせて、これまでどおりのプレーヤーの道を選択することも一つの方法です。
プレーヤーは自分のペースで仕事に取り組むことができ、外部の人と接触する機会も多いので、内部調整や議会対応に興味のない人に向いているでしょう。
また、管理職特有のストレスもないため、長く働き続けられる環境を作れます。
自分に合った選択をすることで、仕事の楽しさを維持できるのです。
相談できる人を作っておく
50代の公務員生活を充実させるためには、信頼できる相談相手の存在が重要です。
50代になってから相談相手を作るのは現実的にむずかしいので、若いうちから、同期や先輩、後輩と良好な関係を築いておきましょう。
信頼できる相談相手は、2人か3人で十分です。多ければ、相談した内容が漏れる心配もありますから。
まとめ
公務員の50代は、若手時代とは異なる課題に直面する時期です。
この時期だからこそできる仕事の価値を見出し、自分らしい働き方を選択することで、充実した公務員生活を送ることができます。
もちろん、「昇進しない選択」もあるでしょう。
これまでの経験を活かした新たな役割を見つけ、信頼できる仲間とともに、いきいきと仕事に取り組んでいきましょう。