公務員の退職・転職

民間から公務員へ転職すると後悔するの?その理由と対策を紹介

2023年4月30日

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「民間から公務員へ転職したら後悔する」と聞くけど本当なの?

「公務員って楽だから後悔なんてしないのでは?」

と疑問に感じる人もたくさんいると思います。

この記事では

  • 公務員に転職すると後悔する理由
  • 公務員へ転職してよかったこと
  • 後悔しないためのコツ

を紹介します。

この記事を書いているのは

  • 大学卒業後、都市計画コンサルタント会社で2年間勤務
  • 25歳の時に、地方公務員(県庁)へ建築職として入庁
  • 51歳で地方公務員を退職し、現在はフリーランスとして活動

民間から公務員へ転職して後悔する理由

民間から公務員へ転職して後悔する人は多いです。その理由は以下のことが挙げられます。

  1. 公務員と民間の仕事内容がそもそも違う
  2. イメージしていた仕事内容と現実とのギャップ
  3. 思っていた以上に給料が安い

一つずつ解説していきます。

1.公務員と民間の仕事内容がそもそも違う

公務員と民間ではそもそも仕事内容が大きく違います。

公務員は「全体の奉仕者」として地域の発展やセーフティーネットのために働きます。一方、民間は利益を追求して商品やサービスを販売します。儲からないことはやりません。

また、公務員と民間のメリット、デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
公務員安定して給料が入る
福利厚生が充実している
倒産の心配がない
地方公務員は転勤がほとんどない
やりがいが感じられない場合がある
頑張っても給料はあがらない
転職がむずかしい
民間スキルアップできて転職や独立が可能
頑張れば給料が上がる可能性がある
会社の業績次第で減給の可能性がある
倒産の心配がある
転勤の可能性が高い

2.イメージしていた仕事内容と現実とのギャップ

後悔する原因で一番大きいのが現実とのギャップだと思います。「こんなはずじゃなかった」「これなら公務員にならなかったのに」と。

必ずと言っていいほど経験するギャップを挙げますね

  1. 思っていた以上に激務で辛い
  2. 思っていた以上に残業が多いし土日出勤まである
  3. モチベーションが上がらない
  4. 細かいことを気にする人が多い
  5. 思っていた以上に説明する機会が多い

1.思っていた以上に激務で辛い

「公務員は楽」というイメージがありますが、現実は違います

住民からのクレーム対応では、こちらの説明は無視され、2~3時間同じ話を聞かされ、「アホ、ボケ、カス」と暴言を吐かれ、「お前は出世しない」と罵られ、対応が終われば山積みの書類を処理して・・・。

議員対応では、相手の予定に合わせて接触し、時には無理難題を言われて返答に困ることも・・・。「できない」というと激高する人もいるので、慎重な対応が求められメンタルが徐々に・・・。

など数え上げたらきりがありません。
閉鎖的な人間関係、異動による環境の変化、まじめな人に仕事が集まる不公平感などもあります。

2.思っていた以上に残業が多いし土日出勤まである

「公務員は定時で帰れる」というイメージがありますが、そんなことはありません
何をするにもスピードが求められるので締切が短く設定され、バタバタすることが多いです。

議会の時期なら、幹部職員へ説明したり答弁を作ったりして、時間のない中でバタバタと調整し、終電近くまで残業することも珍しくありません。

予算要求の時期なら、要求内容を幹部職員へ説明し、幹部の意向を反映して要求書を財政課へ提出します。財政課から質問があれば、当日中に返さなければならず、終電やタクシー帰りもよくあることです。

どの自治体もそうですが、職員数が少なく一人当たりの仕事量が増えているので、仕事が終わっていなければ土日に出勤して終わらせないといけません

ちなみに、僕が財政課にいたときは年400時間の残業をしていました。

3.モチベーションが上がらない

「公務員の仕事は前例主義でルーチンワークが多い」とわかっていても実際にやると苦痛です。
異動するまでの3~4年間、毎日毎日同じような仕事が待っています。

他にも、無駄な資料を作らされたり、仕事ができない人の分まで仕事を任されたり、テキパキ仕事をして定時に帰ると「暇そうやね?」と言われたり。「はあ~」とため息をつきたくなることが多いですね。

4.細かいことを気にする人が多い

通知文書や庁内でプレゼン用に使う資料などを幹部職員に確認をとる(決裁をとる)時に、細かい指摘が入ります。

例えば、「左側の余白をもう少し開けよう」「2行目の書き出しの文字が少しずれている(インデントがずれている)」「この文字だけサイズが微妙に違う」など。

内容のことを言われるならマシですが、体裁とかどうでもいいことを重箱の隅をつつくように言う人が結構います。特に課長クラスに多いですね。「どうでもいいわ!」という思いを抑えて、「あっ、本当ですね!修正しときます」と言っている自分が情けない・・・。

5.思っていた以上に説明する機会が多い

住民や庁内関係課、幹部職員、議員などに対して説明する機会がたくさんあります

  • 説明資料を作る
  • 上司に確認をとる(決裁をとる)
  • わかりやすく説明する
  • 時には怒られたり、罵声を浴びせられたりする
  • 必要に応じて2度3度説明する。
  • 納得してもらって事業を進める

簡単なように見えますが、一つ一つ時間もかかりますし、上手く説明する能力も必要です。

いすに座って書類をペラペラめくって、事務処理を進めるだけの仕事ではありません

3.思っていた以上に給料が安い

「公務員は給料が高い」と思っている人が多いのではないでしょうか。

年功序列で勤務年数に応じて少しずつ上がるので、転職して間もないころや若いうちは給料が安いです。大企業のほうが断然給料が高いです。

本当に安いので、公務員へ転職する方は肝に銘じておいてください。20代前半の若い職員の手取り額を聞いて思わず「えっ?それだけしかもらってないの?」と言ってしまったこともあります。

公務員へ転職してよかったこと

とはいえ、公務員へ転職して良いこともあります。

休みはとりやすい

民間では有給休暇を取りにくい会社もあるようですが、公務員は実際取りやすいです。

初年度は15日の有給休暇を与えられ、その後、年に20日追加され最大で40日の有給休暇をもっておくことができます。

と言っても、「30代まで」、役職で言うと「主査まで」は休みを取りやすいですが、課長補佐以上になると「休みたくても休めない」ようになってきます

なぜなら、課長補佐以上になると幹部職員や議員へ説明する機会が増え、日程が勝手に決まることが多くなります。「この日休もうと思っていたのに」と休みの予定を入れていても変えないといけなくなります。

さらに、主張や休暇で職場の人数が少ない時は、休みたくても遠慮せざるを得ません。

30代までは1年で20日くらい、40代以降は10日+αくらいは余裕で休める感じです。

クビになるリスクは低い

自分自身が悪いことをしなければ、クビになることはありません。

しかし、まじめに働いている人は良いのですが、仕事ができない人もクビにならないので、そのような人たちははっきり言ってお荷物です。

公務員へ転職して後悔しないコツ3選

公務員のイメージと現実とのギャップが大きければ大きいほど後悔します。

ギャップが大きくならないよう、あらかじめ公務員の仕事内容を把握しておくことが大切です。

年齢が上がるにつれて業務内容が大きく変わるので、「若いころは楽しかったのに、年を取ると面白くなくなってきた」というのはよくあるケースです。僕もそうでした。こういったことも認識しておきましょう。

後悔しないコツ3選

  1. 公務員の仕事内容を把握する
  2. 給料は安いものと再認識する
  3. 何を求めて公務員になるのかを明確にしておく(将来の自分をイメージする)

1.公務員の仕事内容を把握する

県庁に勤める公務員の仕事内容を年齢別にわけると以下のようになります。

徐々に責任の大きい仕事を任されるのは公務員も民間も同じですが、ストレスのかかり方が公務員の場合半端ないですね。

30代前半まで(主事、技師、副主査の段階)

  • 担当者として、窓口業務、市町村との打合せ、住民への説明、工事発注手続き、通知文書の作成など事務処理をメインに行う
  • 電話を取ることが多いので、住民からのクレームを最初に聞くことになる
  • 上司となる主査へ相談しながら業務を進める。
  • 責任の大きな仕事はほとんど任されない

30代後半~40代前半(主査の段階)

  • 主査として、窓口業務、市町村との打合せ、住民への説明、工事発注手続き、通知文書の作成など担当者を指導しながら主体的に業務を進める
  • 担当者が受けたクレームの解決策を考えて、上司となる課長補佐や課長へ説明する。クレームを言ってきた方へは担当者ではなく主査がメインで回答するケースが多い。
  • 幹部職員への説明資料を作成し、課長補佐や課長の確認をとる。
  • 議員やマスコミ対応が生じた場合、補助的な立場で対応する。(メモ取りなど)

40代後半~50代前半(課長補佐、課長の段階)

  • 実務は主査や担当者に任せつつ、業務全体の進捗管理など主にマネジメントを行う
  • 人事評価の評価者となる
  • クレームがあった時に、主査が対応して解決しない場合や「上を出せ」という展開になった場合に課長補佐が対応する。クレーム対応では課長まで出さないのが原則。
  • 幹部職員への説明は課長補佐がメインで行い、課長が補足する。
  • 議員やマスコミ対応は課長補佐や課長がメインで対応する。(初回は課長補佐が対応。もめたら課長の出番というイメージ)

50代後半以降(幹部職員の段階)

  • 課や部全体のマネジメントを行う
  • 議会(議場、委員会)での答弁者となり責任が重い
  • 議員との間でこじれた案件があれば、課長より上の役職で対応

建築職公務員の仕事内容については、「公務員ってどんな仕事をしているの【元公務員(建築職)が具体に語る】で解説しています。

建築職の仕事内容はこちら

2.給料は安いものと再認識する

公務員の給料は安いですし、頑張っても上がりません

なので、給料は安いものと割り切って期待しないようにしましょう。「給料が安い!」と言いそうなら、公務員は向いていません。

「毎月必ず支払われるからそれでいいや!」というくらいの気持ちで。

3.何を求めて公務員になるのかを明確にしておく(将来の自分をイメージする)

なぜ今の会社を辞めて、公務員になりたいのかを明確にしておきましょう。これを間違えると後悔する可能性が高くなります。

  • 安月給でも安定している公務員がいい ⇒ 給料が上がらなくても受け入れる
  • 民間がしんどいから公務員になる   ⇒ 公務員も楽ではありません
  • 残業したくないから公務員になる   ⇒ 部署によっては残業が多い
  • 有給休暇を取りたい         ⇒ 公務員は比較的休みやすい

こちらの記事で「公務員に向いていない人の特徴7選」を紹介していますので、合わせてご覧ください。

まとめ

今回は、

  • 公務員に転職すると後悔する理由
  • 公務員へ転職してよかったこと
  • 後悔しないためのコツ

    についてご紹介しました。

    昔と違って公務員は楽ではありません

    公務員の現実を知っていただいて、「それでも公務員になりたい」という方はぜひ公務員に転職して地域の発展のためにご尽力いただきたいと思います。


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