公務員試験を受けてみようかな、公務員に転職しようかなと考えている人の中には、
「公務員の仕事って楽しいの?」
「単純でつまらないのでは?」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
26年間、地方公務員を経験してわかったことは、
公務員の仕事は楽しいところもある。
でも、それ以上にしんどいところが多すぎる!
ということです。
この記事を読めば、以下のことがお分かりいただけると思います。
この記事を読めばわかることポイント
- 公務員の仕事のしんどいところ
- 公務員の仕事の楽しいところ
- 公務員を目指す人へ伝えたいこと
- 公務員を辞めたい人へ伝えたいこと
この記事を書いた人
- 大学卒業後、都市計画コンサルタントへ就職
- 2年後、地方公務員(県庁)建築職へ転職
- 26年間勤めた公務員を早期退職し、現在フリーランスとして活動
- 在職中は、公共建築物の設計、施設の維持修繕、補助金業務、建築物の耐震化、財政課で予算査定といった仕事に従事
公務員になろうと考えている人は「しんどいところ」も「楽しいところ」もすべてわかったうえで、チャレンジしていただければと思います。
公務員の仕事のしんどいところ
「公務員の仕事がしんどいと言っても、民間に比べたらマシだよ!」と思っている人もいると思います。
民間には民間のしんどさがありますが、公務員にも民間と比べものにならないくらいのしんどさがあるのは事実です。
まず、公務員の仕事でしんどいことは以下です。
- クレーム対応
- 忙しい部署は地獄
- 人事異動があるので、得意分野を作れない
- 40代からは責任のある仕事が増え、休みを取りにくい
- 仕事は増えるが人は増えない
クレーム対応
クレーム対応は民間でもありますが、公務員特有のクレームは、
「俺が払ってる税金でメシが食えてるんだろう!だから俺の言うことをきけ!」
というものです。
不当要求と言われるような理不尽なクレームが多いのですが、無下に対応するわけにはいかないので、メンタルをやられた人もたくさんいました。
やっかいなのは、クレームに慣れている人は担当課だけではなく、総務課や人事課にも電話を入れます。
「○○課の△△は、俺にウソをついたので、迷惑している。きちんと指導するように!」と、あること無いことを言ってきます。
そうなると、人事課などから担当課に電話がかかってくるので、その対応にも追われることになります。
【実際にあったクレーム】
公営住宅を建て替える場合に、入居者の引越し代を一定額まで払う制度があります。
引越し完了後に払うことになっているのですが、「引越し前に払え」との要求。
「引っ越したら払う」と説明しているのに、「引越し前に払え」とのクレーム。
無意味なやり取りが1時間以上も続き、次の日もさらに次の日もクレームがありました。
簡素化して書いていますが、電話している間ずっと、罵詈雑言を浴びせられています。
過度なクレームを言ってくる人は、威圧的で人格を否定するような発言を平気でしてきます。
ですが、それでも公務員は丁寧に対応しなければならないのが、ツライところです。
忙しい部署に配属されたら地獄
忙しい部署とは「企画系」や「財政系」、「各部の総務課」といった、いわゆる官房系と呼ばれる部署で、エリートが集まる傾向にある部署です。
知事からの指示を直接受けてテキパキと動かなければならず、求められるレベルが高いので失敗が許されません。
また、拘束時間も長く、ストレスがたまりやすくなります。
出世したい人にはいい職場ですが、そうでない人には苦痛でしかありません。
人事異動があるので、専門分野を作りにくい
公務員には人事異動というものがあり、たいていの人は3~4年で部署が変わります。
そのため、ずっと同じ仕事をするわけではないので、自分の専門分野を作りにくいところがあります。
そもそも公務員は、専門家よりも「何でもできる人」が良しとされているので、一つの分野を深く掘り下げるような仕事はできません。
例えば、「建築」であっても、住宅行政、工事・設計、耐震、建築確認、構造、景観などたくさんの分野に分かれているので、専門分野はなかなかもつことができません。
40代からは責任のある仕事が増え、休みを取りにくくなる
40代くらいになると「主査」とか「課長補佐」といった役職に就く人が多くなります。
課長補佐という役職になると、議員対応や幹部職員への説明など責任のある仕事が増え、自分のペースで仕事することが難しくなります。
理由は、えらい人のスケジュールを優先するので、その日程に合わせなければならないからです。
例えば、9月に議会がある場合、その準備で8月は大忙しになります。
「子どもの夏休みだから1週間休みを取って家族で旅行しよう」なんて、絶対無理でした。
仕事は増えるが、人は増えない
僕のいた自治体では、職員数が足りなかったり体調不良だったりで、まともに仕事できる人が年々減っていた印象です。
にもかかわらず、管理職は自分が目立ちたいために新しい事業を始めたがりますし、一方で、これまでの事業はやめようとしません。
人は増えずに仕事ばかりが増えます。
それでいて、できなければ「なぜできないの?」と追及されます。
人がいないんだから、できるわけないだろーーーーー!(心の声)
公務員の仕事の楽しいことろ
いろいろしんどいところを書きまいたが、そうはいっても、公務員の仕事にも楽しいところはあります。
- 社会に役立つ仕事ができる。
- いろんな分野の仕事ができる
- 若いうちは休みを取りやすい
社会に役立つ仕事ができる
「公務員は、全体の奉仕者として公共の利益の増進に尽くす」と言われるとおり、社会に役立つ仕事に携わることができます。
建築の分野で言いますと、以下がその一例です。
- 家賃の低廉な公営住宅を整備し、所得の低い方のセーフティネットを確保する
- 住宅や建築物の耐震化を促進するため、補助制度の創設や普及啓発をする
- 全国的に空き家問題が増えていて、放置された空き家が増えないよう取り組みを進める
- 老朽化した公共施設の維持修繕や改修を行って、安全に快適に利用していただく
建築以外にも、教育・福祉・観光などさまざまな分野で社会に貢献できることが、公務員の大きな魅力であることは間違いありません。
いろんな分野の仕事を経験できる
人事異動は専門分野が作りにくい反面、さまざまな分野の仕事に携われるメリットがあります。
4~5年の周期で異動していく中で、たくさんの仕事を経験し自分の好きな分野を見つけることもできます。
若手職員のころは休みを取りやすい
30代くらいまでは、休みたい時に休めることが多いです。
と言うのも、若手の頃は資料作成や入力など簡単な事務作業が多く、締め切りさえ守っていれば、自分でスケジュールを立てやすいからです。
しかし、ベテランになると議員や幹部職員へ説明する機会などが多くなるので、休みたくても休めなくなり、ストレスを感じる人も出てくるようになります。
公務員になりたい人へ
どんな仕事にも言えることですが、つらいことも楽しいこともたくさんあります。
公務員の場合、若いうち(30代まで)は、つらいことより楽しいことが多かったように思います。
しかし、40代になると逆で、つらさばかりが目立つようになった感じです。
年齢によって、仕事内容が大きく変わるのが公務員の特徴でもあるので、その点を理解して公務員としてご活躍いただければと思います。
公務員を辞めたい人へ
「公務員をやってきたけど、自分に合わない」と思っている人もいるのではないでしょうか。
僕の場合、26年勤めてやっと、自分に合っていないとわかりました。
かなり遅いですね。
「辞めたい」「公務員の仕事は苦痛」と思っているなら、辞めて新しいステージに行くほうが良いと考えます。
無理して働き続けるとメンタルがやられてしまいますし、時間がもったいないからです。
最近は公務員を辞める人も多く、僕がいた自治体でも、年度途中で退職している人が年々多くなっている印象です。
決して無理せず、「辞めたいなら辞める選択肢もあり」と気軽に考えておくほうがいいと思います。